「棋譜をAIに見せて、この手はなぜ?と聞きたい」。やってみると最初につまずくのが APIキー です。AIの提供元でキーを発行して、アプリに設定する。将棋やチェスを指したいだけの人にとっては、ここが一番遠い。
この記事では、APIキーを一切使わずに、Claude のチャットの中で Ponder(チェス・将棋の検討盤)を動かす手順を説明します。必要なのは Claude のアカウントとインターネット接続だけです。
仕組み:アプリをClaudeに「添付」する
Ponder には、ブラウザで開く版のほかに、1つのHTMLファイルとして配布している版があります。このファイルを Claude のチャットに添付して「アーティファクトとして表示して」と頼むと、Claude の画面の中でアプリが開きます。
AIへの質問は、そのまま あなたの Claude の利用枠 で処理されます。外部のAPIを呼ばないので、キーの発行も、別の支払いも発生しません。
手順
- 配布されている
ponder-artifact-<版番号>.htmlをお使いの端末に保存する - claude.ai または Claude Desktop で新しいチャットを開く
- そのチャットに、保存したHTMLファイルを添付する
- 「アーティファクトとして表示して」と送信する
- 画面が開いたら、「棋譜アップロード」から自分の棋譜を読み込む
添付してから画面が開くまで、十数秒かかります。何も起きていないように見えても、そのまま待ってください。Claude はファイルの内容をそのまま表示するだけで、中身を作り直したりはしません。
うまく開かないときは、次の2つを試します。
- 新しいチャットでやり直す(長い会話の途中より開きやすくなります)
- 「そのままアーティファクトとして表示して」と、「そのまま」の語を入れて頼む
読み込める棋譜
- チェス:PGN
- 将棋:KIF / KI2 / CSA / JKF(Shift_JIS で保存された KIF も自動で判別します)
読み込んだあとの基本操作は、ブラウザ版と同じです。
- 盤面の手送り、任意の手数へのジャンプ
- 盤面を直接動かして分岐を試し、「本譜に戻る」で戻す
- 局面についてAIに質問する。回答の中の指し手には ▶ ボタンが付き、押すとその手が盤に反映される
- 日本語 / 英語の切り替え(AIの回答言語も追従します)
実際にはこう返ってくる
言葉で説明するより、1回分のやり取りを見たほうが早いと思います。Ponder に入っているサンプル棋譜(1858年のオペラ座の対局)を22手目まで進めて、定型質問の「この局面の最善手は?」を押したときの回答です(これはキー無しでも見られる、事前に用意したサンプル回答です)。
この局面での最善手は 12.O-O-O(クイーンサイドキャスリング)です [▶ O-O-O]。キャスリングによってルークをdファイルに配置し、ピン留めされた黒のナイト(d7)への圧力を一気に強めます。(…中略…)実戦ではこの後 12...Rd8 13.Rxd7! Rxd7 14.Rd1 と攻めが続き、モーフィーは犠牲を重ねて 17.Rd8# の美しいチェックメイトを決めました [▶ Rd8#]。
太字の部分が、画面ではボタンになっています。[▶ O-O-O] を押すと、盤の上でキングが c1 に、ルークが d1 に動きます。[▶ Rd8#] を押すと、17手目の詰みの局面まで一気に飛びます。「ルークを d ファイルに配置する」という文章を読むだけでなく、押して盤で確かめられる。これがこのアプリで一番気に入っている部分です。
自分の棋譜を読み込めば、同じことがあなたの対局でできます。負けた対局の「どこで悪くなった?」を聞いて、回答に出てきた分岐を押して、盤で追う。その流れにAPIキーは要りません。
知っておいてほしいこと
AI機能は、あなたの Claude の利用枠を消費します。 使える回数はご契約中のプランの上限に従い、上限に達すると回復するまでAI機能は使えません。開発者側でその枠を増やすことはできません。棋譜の閲覧や盤面の操作そのものはAIを使わないので、上限の影響を受けません。
動作を確認できているのは、パソコンのブラウザ版 claude.ai(macOS + Google Chrome)と Claude Pro です。Claude Desktop アプリ、Windows や Linux のブラウザ、スマートフォンでの動作はまだ確認できていません。「未確認」は「使えない」という意味ではなく、こちらでまだ確かめられていないという意味です。
もう一つ、ブラウザ版との違いとして、読み込んだ棋譜は保存されません。アプリを開き直すたびに読み込み直す形になります。保存されるのは表示言語の設定だけで、これも環境によっては保存されないことがあります。
ブラウザ版との使い分け
同じ製品にブラウザ版もあり、こちらは Claude を開かずにどのブラウザでも使えます。その代わり、Claude / OpenAI / Gemini いずれかのAPIキーの設定が必要で、AI利用料は各提供元に支払う形になります。
| Claude内で動かす版 | ブラウザ版 | |
|---|---|---|
| APIキー | 不要 | 必要 |
| AIの費用 | Claude の利用枠を消費 | 各AI提供元へ別途 |
| 動作場所 | Claude 内のみ | どのブラウザでも |
| AIプロバイダ | Claude のみ | Claude / OpenAI / Gemini から選択 |
| 回答の表示 | 一括表示(「考えています…」のあとまとめて出る) | 逐次表示 |
| 棋譜の保存 | されない | されない |
「まずキーなしで試したい」「普段 Claude を使っている」なら Claude 内で動かす版、「複数のAIを比べたい」「Claude を開かずに使いたい」ならブラウザ版、という選び方になります。
AIの回答と盤面の関係
AIの解説は参考情報で、誤ることがあります。ただし、盤面に反映される指し手はすべてルールエンジンで合法性を検証しているので、ルール上ありえない手が盤に載ることはありません。解説の文章を鵜呑みにするのではなく、▶ を押して盤で確かめる、という使い方を想定しています。
注意
このアプリは Anthropic 社の製品ではなく、同社の承認・提携・公式サポートを受けたものでもありません。Claude のアーティファクトの仕様が変わると、Claude 内で動かす版が動作しなくなる可能性があります。その場合でも、ブラウザ版は影響を受けずに使えます。